公益社団法人日本舞台音響家協会
ハラスメント防⽌ガイドライン

ハラスメント防⽌ガイドライン

 このガイドラインは、公益社団法人 日本舞台音響家協会に関わる全ての人々の人権が尊重され、さまざまな人がその出生地や性別などの属性、置かれた立場などにかかわらず、安心して快適な創造環境および業務環境のもとで働き、自由な創作活動を行なう権利が保障されることを目指して制定するものです。

1 基本的な考え方 

公益社団法人 日本舞台音響家協会(以下、協会)は、個人、団体、賛助の各会員のほか、関連企業、関連する他団体、講座開催などの際の一般参加者、業界内の他組織及び関係者等々、多様な職種、多様な形態で働き、参加する人々によって事業運営されています。会員は、それぞれの立場を考慮し、参加者、協力者、すべての関連事業者、関連団体にとって、もちろん会員相互間においても、協会が誰の尊厳も傷つけることのない、ハラスメントのない場となるように努めるものとします。

a) 会員は、本ガイドラインに基づきハラスメント防止に努めます。事業を実施する担当者は、参加者や協力者、事業者などに対して、優位的な立場となり得ることを認識し、適切な範囲を超えた言動や威圧的な態度をとっていないか、相手を精神的・身体的に追い込んでいないか、また指示や指導の内容がその事業上必要なものであるかを常に意識する必要があります。協会が業務の協力、依頼をしている事業者などに対しても、本ガイドラインを参照の上、ハラスメントのない創造環境になるよう努めることを求めます。

b)万が一、協会が業務協力、実施依頼をしている事業者などの外部スタッフが関わるハラスメント事案が発生した場合でも、まず被害者を救済し、当該者に対して、情報の提供や責任のある対応を求めます。さらに、協会としても、当該事案を踏まえ、事業運営を改善しハラスメントのない場になるよう、さらに努めるものとします。

c)協会が運営する各事業は、参加者や協力者、事業者などに対して、優越的な立場での言動、行動を行ない、加害者となってしまう可能性がある、またそれは参加者間どうしにも起こりうる、という意識のもと、自分自身の舞台芸術・芸能、各現場において、その環境の特徴をよく理解し、言動、行動におのおのが責任を持つ必要があります。また、ハラスメントは無自覚・無意識のうちに行なわれることもあるため、自分の言動、行動について指摘を受けた場合は、謙虚に受け止め、直ちに行為を改める姿勢が求められます。

d)一方で各種の「しばり」を設けていたずらに厳しく不自由にするのではなく、自由で豊か、活発な真の創作活動を、誰とでもどこでもいつでも充実したかたちで行なうためには、全員が互いを尊重する意識とコミュニケーションの技術を持つべく、更新し続けるという認識を持ち、このガイドラインを守っていく必要があります。ハラスメントのない環境こそ、全ての人が安心して創造性を最大限に発揮できる場となり、より質の高い芸術創造空間、快適な業務環境へとつながります。

2 差別やハラスメントの禁⽌

協会では、以下にあげるような差別やハラスメントを禁止します。

(1)パワー・ハラスメント

事業運営、業務に関する優越的な関係を背景として行なわれる、創作活動上必要かつ相当な範囲を超える言動、行動であって、その人格もしくは尊厳を害し、精神的または身体的な苦痛を与え、また創造・業務環境を害するようなもの。

2)セクシュアル・ハラスメント

性的な言動により、相手や周囲の者に不快感や不利益を与えるもの。性別、身体的特徴、容姿、服飾などについての発言、批評や、性的な冗談、不必要な身体的接触、性的な関係の要求など、業務内外における性的要素を含む不適切な言動や行動を指す。異性間、同性間に関わらず発生し得る。

注:業務、作業上において危険をともなう可能性があるなど、不適切な服飾への指摘や指導については、この範囲にあたらない。

(3)モラル・ハラスメント

ことばや態度、直接、間接的な行為で相手を否定するなどして精神的な嫌がらせ、心理的苦痛などを与えるもの。上下関係の有無は問わず、あらゆる人間関係でおこりうる。一見些細に見える行為でも、繰り返されることで相手に大きな精神的ダメージを与える可能性がある。

(4)セカンド・ハラスメント

被害者が勇気を出して相談、申告したにもかかわらず、相談窓口や周辺の人々から威圧的対応をされたり、手厳しい非難を受けたり、被害を矮小化、否定されるなどの二次被害にあうこと。「大げさだ」「そんなつもりはなかったはず」「それは我慢すべき」などと被害を軽視する発言、「あなたにも原因がある」と被害者を責める言動、相談内容の不適切な拡散、報復行為、相談後の孤立化などが含まれる。

その他にも

(5)アカデミック・ハラスメント(学びの場における優位性、閉塞性を利用し威圧する)

(6)マタニティ・ハラスメント(妊娠、出産、育児、(介護)に関することで阻害、排除、抑圧する)  

(7)カスタマー・ハラスメント(相手、取引先、依頼・委託先からのクレームが著しく妥当性を欠いている、社会通念上逸脱した内容で嫌がらせや命令などの攻撃をする)

(8)ジェンダー・ハラスメント(性を固定して考え、性別的な差別、攻撃をする)

(9)ハラスメント・ハラスメント(これはハラスメントだと過敏に反応し、過度な主張を展開、相手に攻撃的な行為などをする。)

注:この項目をもって自由な発言に抑圧的になる必要はない。

3 差別・ハラスメントを行なわない、行なわせないように、参加、活動する関係者一人ひとりが次のような事項について充分認識し、注意した上で各事業を実施する

  • お互いの人格や思想、信条、信仰を尊重しあうこと。
  • お互いが必要で大切な創作活動のメンバーであると意識すること。
  • 言動に対する受け止め方には、個人間、性差、立場、国籍などにより差があること。
  • 親しさを表すつもりの言動、行動であったとしても、本人の意図とは関係なく、相手を不快にさせてしまう場合があると意識すること。
  • 不快に感じるか否かには個人差があるため、この程度のことは相手も許容するだろうという勝手な憶測をしないこと。(相手との良好な人間関係ができている。と思いこみをしない)
  • 相手が拒否している、または嫌がっていることがわかった場合には、同種類の発言や言動、行動の繰り返しを行なわないこと。
  • 差別やハラスメントであるか否かについて、相手からいつも明確な意思表示があるとは限らないこと。
  • 事業・業務以外の時間での活動、休憩時間、通勤時間、業務外の飲食の機会やSNS上などにおいても、同様に「ハラスメント防止の意識」を持ち続けること。
  • 周囲でハラスメント行為を見かけた場合は、見て見ぬふりをせず、状況に応じて声をかける、その場を離れる手助けをする、相談窓口に報告するなど、適切な行動をとること。
  • 創造作品に関するSNSなどでの発信について、自分以外のこと(出演者、参加スタッフ、他の関係者など)に関する文章、画像、動画などを無断で投稿しないこと。(個人の名前が入っていなくても、個人を特定しうる情報が入っている場合は同様)
  • 直接対面しない各種のSNSやメッセージアプリなどを利用し、情報共有、意思表示する際にも、安直なことば、安易な発信をする、また返事の強要が相手の時間外勤務になっていないかなど、よく考慮すること。
  • 昔からそうしてきた、業界の慣習だ、伝統的なやり方だ、などの理由で、不適切な行為や言動を正当化しないこと。時代や社会の変化に合わせて、過去の慣行や伝統的手法であっても、ハラスメントにあたる可能性があるものは見直し、自身で改善するという意識を持つこと。

4 ハラスメント相談などについて

(1)協会では、ハラスメント相談の窓口を設置し担当者を配置、相談の道筋を作り、プライバシーを守って対応いたします。また、ハラスメントの相談や申告をしたことを理由として、相談者に対する不利益な取り扱い(創作や業務の機会減少など)を一切行ないません。相談者が安心して声を上げられる環境づくりに努めます。

・協会の会員は、相談を「総合相談員」に直接行なうことができます。事案に応じて「事業運営担当者」や「事業実施委員会の委員長」に相談することも可能ですが、特に相談先に迷う場合や、直接相談しにくいなどの場合は、まず「総合相談員」にご連絡ください。

・事業の参加者、協力者(協会の会員以外)でも、協会の「総合相談員」に直接ご相談いただけます。必要に応じて所属の会社や組織、学校などと連携することもできますが、まずは相談者の意向を最優先します。相談はメールで受け付けます。

問題解決に迅速かつ適切に対応できるように、協会内部に実施事業、委員会、専門部会などの運営とは無関係の「総合相談員」と、協会の外部に専門資格を持つ「専門相談員」を配置しております。)

・相談の方法

a)プライバシー保護のため匿名でも相談できます。(「専門相談員」以外の際)ただし、匿名での相談の場合、協会がとりうる対応には限界があることをご理解ください。問題解決のために具体的な解決手続きをとることが必要となった段階では、相談者の氏名、所属などの確認が必要となります。すべての個人情報は厳格に管理され、相談者の同意なく第三者に開示されることはありません。

b)相談についてはハラスメントの直接の被害者だけでなく、間接的に被害について知った者(被害にあった者から相談を受けた者、およびその行為を目撃した者)も行なうことができます。

c)相談を受けた「総合相談員」、「専門相談員」は、この際に必ず「相談受付票」を作成し、内容を相互に確認の上、記録を残します。この記録は厳重に管理され、問題解決と再発防止のためにのみ使用されます。また、相談内容によっては協会内で情報共有が必要な場合がありますが、その際も相談者のプライバシーに最大限配慮します。

相談を希望される場合は、まずは以下のメールにてお問合せください。

ハラスメント相談窓口 専用メールアドレス
harasu.soudan@ssa-j.or.jp

※ 外部「専門相談員」への相談を希望する方は、まず「総合相談員」にお申し出ください。連絡先メールアドレスをお知らせします。その後、「専門相談員」と、相談者の状況や希望に配慮しながら、相談方法(対面、電話、オンラインなど)や日時を調整します。
※ 外部「専門相談員」へのご相談の際は、実名での対応になります

(2)具体的な相談を受けたあとは、被害にあわれた方の立場、関係するいずれの当事者のプライバシーも守り、解決、改善に向けて外部「専門相談員」や「総合相談員」を中心に理事会で協議、誠実に対応いたします。

(3)協会の事業、活動などにおいて具体的なハラスメント事案が発生した場合には、被害にあわれた方の救済を第一に考えるとともに、「専門相談員」を中心に再発防止策のできるだけすみやかな立案と、その実行にも取り組みます。

5 公的機関などの相談窓口の紹介

【みんなの人権 110番(法務省)】 

https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken20.html

差別や虐待、パワー・ハラスメントなど、様々な人権問題についての相談を受け付け。


【こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト】

https://kokoro.mhlw.go.jp/

0120-565-455  受付:月 ~ 金曜日 17:00~22:00 / 土曜日・日曜日 10:00~16:00

(祝日、年末年始は除く) 

労働者やそのご家族、企業の人事労務担当者の方が対象。

【文化・芸能業界のこころの サポートセンター MeBuKi】

https://mebuki.org/about

メール相談、オンライン相談、カウンセリングなど。

IMG_256

【東京芸術文化相談サポートセンター「アートノト」】

https://artnoto.jp

相談窓口、情報提供、スクールなど。

IMG_256

※ 他にも「法テラス」、「フリーランス・トラブル110番」などのサイト内にも相談窓口があります。

※相談窓口を掲載しているポータルサイト 

【厚生労働省 あかるい職場応援団 相談窓口のご案内】 

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/inquiry-counter

【舞台芸術関係者向け 性暴力・ハラスメント相談窓口リスト 】

https://harassmentmadoguch.wixsite.com/list/madoguchi 

IMG_256

公益社団法人 日本舞台音響家協会 

2025年 6月16日 制定